スポンサーサイト
  •  --, --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    *最後まで読んで頂き有難うございます。宜しければ拍手=愛を頂ければ活力になります。 ia10.gifアイ
    *。夢小説目次一覧
    GG*。aa06.gifAlexaa10.gifMarcaa09.gifLeon*。aa08.gifIzaacaa04.gifFredaa02.gifKyle
    恋乱LB*。aa02.gif殿方一覧


  • 只今ランキング参加中です、応援して頂けると幸いです♪
カイルと過ごす2weeks……第6話「劇本番。ハートによって結ばれた強い絆」
Kdg00.gif
カイル・ヒューズ//関係:不明//傾向:甘々//時代:高校生 【視点:ヒロイン】




本番当日の早朝、カイルは一足先にペイントハウスを出る為に荷物を纏めて居た。
学校に一度寄った後、大事な用があるとの事でそちらに急いで向かわないと行けないらしい。
今は私だけが起きて来て身支度の手伝いをしてあげると、玄関先迄見送れば制服姿のカイルは片手をスッと差し出した。


「…握手?」

「いいから、手出してみて」


言われた通りにおずおずと片手を差し出すと、ガシッと強めに握手するように握られる。
ぐ、と手平を押し付けるような感じがしたかと思えば彼はそっと手を離した。


「ん……何、これ?」


下した時に自分の手に違和感を感じると、引っくり返すように手平を見た。
すると中央に赤いハート型の模様がスタンプのように押されている。
カイルもまたバイバイするように手平を見せると、同じハートがそこにはあった。


「おまじない。例えどんなに離れてても…俺とお前は、この印で繋がってるから」


見せてた手平を丸めたかと思うと、彼の心臓の上に拳を持ってきてはトントンと叩いて見せた。


「俺は見ててやれないけど、このハートが代わりに見守ってるから緊張すんなって意味」

「…有難う、色々と。…実は緊張しやすいんだよね私。
本当はカイルにも見てて欲しいけど外せない用事なら仕方無いよね」

「…悪い。でも録画頼んであるから、それは後でちゃんと見る。
それと、拭いたりするなよ?一応油性だから、汗では落ちないと思うけど」


にこり、と無邪気に笑顔を浮かべるカイルをハートが付いてる手を振って今度こそ見送る。
パタンと閉まった扉を見れば急に寂しさを感じてしまうが、別にこれが最後の別れって訳じゃない。
私も気持ちを切り替えて本番に向けて頑張らないと、カイルには沢山のことを教えて貰ったんだから。



***



開始の合図が鳴る舞台の裏側で衣装を着ている私は矢張り極度の緊張の為かガチガチに固まっていた。
緊張しない方が無理な話だ。だって客席は一つの空席も見当らず満員御礼とばかりに沢山の人で溢れている。
然もこのメンバーで劇をするとあらば噂が広がったように制服以外にも私服姿の人達も多く混じっていた。
席が無いのに左右の端に、一番後ろにと立ち見で見学している人達も沢山居る。
女性達の中にはちらほらと花束を持っており、今か今かと皆が楽しみに待ってるのが此方にも伝わってきた。


(ど、どんだけ居るんだよ…!然も殆どが女性とか…)


「ほら、リラックスリラックス」


見かねたマークが私の背中をポンポンと撫でてくれるのだが、口から心臓が飛び出そうな私はう、と声を漏らす。
緊張し過ぎて可笑しくなりそうだ、と頭を掻き毟りたいのは我慢した。綺麗にセットされた髪型は私じゃ直すことは出来ない。
何度も深呼吸を心掛けると不図手平に写っているハートの模様が目に止まり、そろりと見詰めた。


「ん……?」


瞳を凝らしてみたらハートには、にっこり笑顔な顔のようなものが描かれている。
目を弓なりに曲げて微笑み、口は笑み大きく大きな三日月。
ハートが代わりと言うことは、此れはカイル自身のつもりなんだろうか。
今だこんな可愛らしい笑顔は一度足りとも見たこと無かったんだけど。


「…ぷ、全然似てない」


噴出して笑う息と共に全身の強張ってた力が一気に抜けてきた。
小さく息を吸い込み、私はきゅ、と手平を丸めて拳を作ると自分の心臓の上にトントンと叩いてみる。
すると不思議なことに本当にじわりと勇気が湧き上がってきた。

足取り軽く皆の元へ駆け寄るとアレックスの腕とレオンの腕を両手で引っ張り笑顔で提案する。


「ねえ、円陣組もうよ!」

「冗談…絶対に嫌だ」

「右に同じ、勝手に熱くなるなよ」

「良いじゃん!此処まで皆でやってきたんだから、円陣組んで一致団結すれば絶対上手くいくって」


マークは面白そうとはしゃぐように同意してくるのだが、案の定嫌がるアレックスとアイザックは突っ立た儘だ。
私とマークでそんな二人を無理やり巻き込むようにして腕を伸ばすとガシリと背中で組んで円陣をした。


「それじゃ、劇の主役とも呼べる日七が声かけてね」

「解った!……それじゃー…」

「行くぞー…レッツゴー!」

「…………」


自分では決まったと思ったのに、予想外な掛け声だったのか皆の驚いたような視線だけが一斉に注がれる。
するとレオンが一言放った珍しくも鋭いツッコミで私の渾身の掛け声を一刀両断した。


「ダサイ…」



***



劇は今の所何も問題無く順調に進んでいった。
最初、スポットライトの中に飛び込んで行った時は一瞬頭が真っ白になりかけたが、
ぎゅと手を握ることで感じる勇気のスタンプが私の気持ちを奮い立たす。


「私の結婚相手は、数々の王子様達から選ばないといけないのですか?」


こうして手振り身振りで自分じゃない人物を演じるのは心底不思議な感覚がした。
演じる人物が憑依されて気持ちも全てなりきれる女優という仕事は本当に凄いことなんだと実感してしまう。

けれど今目の前で多くの人に観られていると、観客と舞台がまるで劇というモノで一つに繋がってるように見えた。
劇を見ることによって一分一秒という時間が消費されていく観客に、此方が与えるのは一時の夢が見せる華やかな世界を表現すること。


『人前で見せれるレベルに仕上げるのは当然のこと』


カイルに言われた言葉が染みるように良く解る。そこにプロや素人だからの言い訳じみた言葉は一切通用し無かった。
彼の指導があんなに厳しかったのは、演技をする私達の上達だけでは無く足を運んでくれる観客の為でもあったんだ。
その二つの意味があったことを知れば特訓の思い出を噛み締めるように残りの演技も一つ一つ魂を籠めて言葉に力を入れる。
そして何時の間にか引きこまれるように辺りはシーンと静まりかえっていた。


(よし、ラストシーンはあそこに居る王子様に駆け寄って手を取るだけだ)


城のセットが並ぶ舞台の右と左の一番端っこ同士で姫と王子はそれぞれ立って居る。
台詞も飛ばず抑揚もきちんとしながら演技を終えようとしてる私はこっそりと息を小さく吐いた。
そして音楽と共に走り出した私に目掛けて、ギギギと軋む音を鳴らし大きな柱が倒れてくる。


(えっ!)


急に大きくなる黒い影に足が竦んでしまい、咄嗟に身を屈ませると瞼をぎゅ、と瞑った。


ズーン


倒れる柱の音に観客から小さな悲鳴が上がる中、然し幾ら待てど私の体が何処も痛くないことに気付く。
そろりと片目だけを開けると、埃が舞う舞台にライトがそれに反射すればキラキラと輝いて見えた。

蹲る私の頭と背中を両手で庇うようにして片膝をついて座る制服姿の人物。足元を見れば数センチの所に柱が転がっている。
グイ、と胸に引っ付かせるようにして肩を抱きながら俯くオレンジ頭にハッと息を呑んだ。
名を呼ぼうにも強張った所為で舌が喉奥に貼りついてしまい声がなかなか出ない。

然し突然、柱が倒れた時よりずっと大きな悲鳴があちこちから上がり始めた。
それは恐怖より黄色い悲鳴に近く、皆の表情が興奮によって赤く染まっている。



「嘘!!どうして…彼が」

「ど、どういうこと!何で…此処に居るの?!」

「あの制服って雅か…」

「きゃあ!信じられないっ」


(な、何が起こってるの……?)


唖然として動けない私と視線が合うカイルは顔を少し傾けるとふ、と優しく微笑んだ。
その微笑みから伝わるのは、背中を支えてくれる手と同じく気持ちの面でも大きな頼もしさを感じる。

何か言おうとする唇の前に彼は人差し指を立てて動きを封じると、私の手首をグイと掴んで一緒に起き上がった。
訳が解らずフラフラと手を引かれながらも一番スポットライトが注がれるど真ん中に二人で立つ。
それだけの動きでも観客の女性達は歓喜と興奮の色が渦巻き、悲鳴を上げ続けていた。

カイルは動揺する素振りも見せずに片膝をス、と置くようにして座り片手を胸に添え頭を下げる。
衣装も着て無いのに微塵もブレ無い堂々たる姿とその動作に観客は食い入るように見詰めそして段々と声を潜ませていった。
まるでその存在感と雰囲気で会場全員を黙らせたかのように見えるカイルは、俯いてた顔を上げると真っ直ぐに私を見上げる。


「姫…どうか私を選んで下さい」


ライトの光を吸収するように瞳の色が煌めく最中、演技を超えていくような真剣さがその瞳から強く漂ってきた。


「私は、王子でも無く貴方に相応しい身分でもありません。
然し…貴方を愛する心だけは、世の誰一人として打ち砕くことは出来ない」


片膝を置いた儘、片手を差し出すとカイルは懇願するように瞳を細める。
演技なのは解ってる筈なのに瞳から滲み出る哀愁さに思わず動揺してしまう私は瞳をただ揺らしてしまった。
カイルは僅かに俯き、言葉に意味を含めるかのように絞り出すような声で切なげに漏らす。


「…例え身分の違う私達には誰一人祝福の声は届かず…
多くの人が邪魔立てしようと立ち塞がるやも知れません」

「それでも、私を選んで頂けるならば…」


そこで彼はゆっくり立ち上がり手平をいっそう前に差し出すと、
私は視線をチラリと動かした先にカイルの手には私と同じハートのスタンプが刻まれているのに気が付いた。



「決して貴方を離したりはしない」



自信に満ち溢れてるようなキリっとした表情からはさっきの切なげさは微塵も見えない。
まるで包まれるような暖かい風が全身を通り過ぎたように、その言葉に偽りが無いと信じれる気持ちになってくる。

流石指導を任される立場に居たとは言え、カイルが此処まで人を魅了するような演技が出来るとは想像もして無かった。
私は引寄せられるように自分の手を伸ばし、同じ印が浮かぶ手平をそっと上に重ねた。

こんなに沢山の人が見ている中で誰一人気付かない二つの重ねられた印は隔てる見えない壁を突き破り、只管純粋なもので深く繋がってる気がした。
愛や恋と呼べるには不確かなものだとしても、これはカイルと結ぶ強い絆なような気がする。


その手をぐい、と引かれて距離が縮まれば反対の手で耳の後ろを覆うように頭を抱き寄せられた。
至近距離にも関わらず全ての観客から息を呑むような気配を感じる。それは怖いくらいの静けさだけが何処までも漂っていた。
注がれるカイルの視線は愛しい者でも見るように熱く熱を帯びており、私はそこから目を離すことが出来ない。



「絶対に離さない。…日七…」



最後自分の名前を呼ばれたのは気のせいだろうか。
吐息のように溢された名の行方は、覆い隠すようにゆっくりと私の唇で塞いだ。

そして手を重ねている印を固く結ぶようにカイルは指同士を絡めてぎゅ、と握り直す。

私の頭を観客席に向けては居るものの、皆には見えない位置だというのにカイルの唇は深く重なっていた。
シャワールームで起きた夜と同じ突然された口付けにスポットライトも浴びてる所為で頭は一瞬で真っ白になってしまう。

やがて唇が名残惜しそうに離れると、互いに静かに見詰め合うのだが突然に。


「………」

コンッ

(えっ…!)


裾の長い衣装の先から出ている私の足先を、カイルが自分の足先で軽く小突いた。
自分の番は終えたとばかりに何処かスイッチが切れたような彼が普段の雰囲気を纏い目を細めている。
そして声には出さずに唇だけを気付かれないように動かし、私に伝えてきた。


『さ い ご の せ り ふ』


(あっ…)


「わ、…私はこの人をエラビマス。
だってこんなにもアイしてくれるのはアナタだけだから」


私の与えられた最後の台詞は今までに見たこと無い位とても酷い棒読みだった。
ロボットのようにカクカク言ったつもりが、それを吹っ飛ばすかのように舞台全体が揺れる程の喝采と大きな悲鳴が打ち上がる。
割れんばかりの拍手と、黄色い悲鳴と泣き叫ぶような悲鳴も混じり幕はゆっくりと落ちていった。



***



舞台裏ではお疲れ様と皆が労っている一番隅で、私とカイルもまた同じように互いを労って…


(……る訳無いだろ!)


最初に出逢った時以上にこれまた、二人でぎゃーぎゃーと言い合って居た。


「ホント信じられない!あんな人前であんなことするなんて!
アンタの方がよっぽど野獣じゃないのよ!この野獣男!」

「お前こそ何だよ最後の棒読みは!全部がブチ壊しじゃねーか!」


ボディーブローの嵐を浴びせようとシュシュと拳を何度も前に出すが、悉くかわされるのだから尚更腹が立つ。


「来るなら来るって言ってよ!」

「それが命の恩人に向かって言う台詞か?人が折角急いで駆け付けたってのに」

「庇ってくれて有難う!…で、でもアドリブとは言え良くもあんな嘘めいた台詞言えるよ、ね!」


シュシュッ。今だ当てられない拳の音が空しく鳴る中、カイルは突然私の拳を手平でパシリと受け止めた。
そしてふ、と口許を緩めてから受け止めた手を自分に引き寄せて二人の間を縮めるとそっと耳元で囁いた。

喧嘩してても、受け止めたカイルの手平と丸められた私の拳の中にはお揃いのハートがある。
まるで喧嘩する程何とやらに見えて私は何処かくすぐったさを感じ始めていた。


耳に残るさっきの囁きが頭で響く。


「…嘘何かじゃねーよ」



カイルと過ごす2weeks……最終話 へ続く




執筆一言 『これもどうしても書きたかった一つの場面でした!正体がバレてないカイルがヒロインを助ける為に皆の前に現れる。というカッコイイ登場シーン。ハートスタンプもこの話を作る時に一番最初に浮かんだキーアイテムでした。
……とても満足出来るものが書けて良かった! 最後はエピローグ、最終話となります』
    *最後まで読んで頂き有難うございます。宜しければ拍手=愛を頂ければ活力になります。 ia10.gifアイ
    *。夢小説目次一覧
    GG*。aa06.gifAlexaa10.gifMarcaa09.gifLeon*。aa08.gifIzaacaa04.gifFredaa02.gifKyle
    恋乱LB*。aa02.gif殿方一覧


  • 只今ランキング参加中です、応援して頂けると幸いです♪

Comment - 0

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。