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ある日、猫を追いかける……第3話
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石田三成//関係:両想い//傾向:ほのぼの 【視点:ヒロイン】




陽さえ注がない寒い場所なのに、肩にふわりと落ちるのは温かい生地。啜り泣いた後にスン、と香のは何時も三成様の匂いだった。


瞼の裏側にチカリ、とする光を感じた気がして段々と意識が戻ってくれば眠たい眼を擦りながら上半身を持ち上げる。
ずるり、と肩から布の擦れる音が聞こえると太腿付近に羽織着が乗っかっていた。手に持つと羽織着から微かに三成様の匂いがする。
それを抱えて慌てて小屋から出ようとした私の足元で突然声がした。扉に手を置いた状態で視線だけを下に落とす。


「にゃーん」

「あの猫!」


すりすりと足首に甘える様に擦り寄ってきた猫は喉を鳴らしなら、しきりに顔を押し付けてきた。
しゃがんだ所で逃げる素振りも見せない猫に私は腕に羽織を引っ掛けると両手で持ち上げる。何ともふわふわした毛並みだ。
漸く扉を開けて外へ出たら、夕陽の暖色した地面が辺り一面に注いでいた。そんなに寝てしまったのか、と猫の頭を撫でていると。


「あ!日七が、あの猫を持ってますよ!」

(ん?)


向こうで指差しする左近君の声がしたかと思えば、振り向いた前方遠くから三成様が獲物を見付けた如く走ってくるのが見えた。


(え?)


ドドドド、と聞こえてきそうな力強い足で地面を蹴っては気迫を背負って距離を縮めてくるのだから…

私は…――――逃げた。


それはもう三成様と同じ全速力だ。両手は羽織着や猫まで抱えてる分此方の方が歩が悪い。しかも脚力の比を考えれば何れは捕まるだろう。
けれど、私だって譲れないものがあります。三成様が本当の事を教えてくれるまで地の果て迄逃げてやりますから!


「まんじゅう女!その猫を今直ぐに置いていけ!」

「この猫を如何するおつもりですか!雅か…手にかけ…」

「馬鹿か!そんな無駄な殺生して何になる!」

「では、何故この猫を追ってるのですか!?」

「…………」


矢張り肝心な部分は言いたく無いらしい三成様は黙ってしまう。そこまで強情ですか。そうですか、もういいです!


「三成様何て…大嫌いです!」

「なっ!」


明らかに動揺する声を上げる三成様。然し段々と距離が近付くも全ての力を足に込めると、息を止めて両頬を膨らますと更に速度を上げた。
家臣達が何事かと見ている中で三成様が「捕まえろ!」と背後で叱っている。もう、絶対絶対逃げ切ってやるんだから!
息を止めてる為に真っ赤な顔で手に持っていた羽織着を素早く丸めると、近くの木の葉上に置いてみる。山盛りに見える羽織着には猫が入ってると見せかける、これは陽動作戦だ。

然し三成様は一瞥しただけで通り過ぎる。確認もせず完全に無視を決めては足を一切止めないのである。


「なんでですか!猫、猫が入ってるかも知れないじゃないですか!」

「…底無しの阿呆うとはアンタのことだな」

「にゃーん」


肩越しで振り向けば、三成様はフ、と口端を曲げて冷酷に微笑した。人を馬鹿にする時に良く見せるあの嗤い。
陽動作戦は大失敗に終わったのは私の腕から完全に顔を出している猫が三成様を見ていた所為だ。
然し、愈々手が伸びて私の肩に触れようと三成様の指先が届いた瞬間、足元にあった枝に引っ掛かった体が重心を崩した。


「わっ!」

「…っ」


ガクン、と撓る体は三成様の腕一本で止められた。まるで勢いのある水を一瞬で堰き止められた様な衝撃だった。
その弾みで私の腕から抜け出た猫は放物線を描いては綺麗に着地をすると直ぐに向うへ行ってしまった。

強い力で三成様の胸元目掛けて背中がぶつかると背後から抱き留められた形で私達は漸く立ち止まる。

羽織着とは比較出来ない自らの香りを三成様自身から強く漂えば、その距離の近さに気付いて心臓が早鐘を打った。
線が細そうで着痩せして見える三成様の胸板の硬さと、力強く抱き締められてるその腕は裾から覗いた素肌に筋肉の筋が見える。


「………」

「………」


一瞬の出来事過ぎて二人で押し黙ると、何かに弾かれた様に互いで左右に飛びのいて距離を開けた。


「そんな強く抱き締めないで下さい。恥ずかしいです」

「だ、誰か好き好んで色気も無い絶壁の女に抱き付くか!」

「抱き付いたじゃないですか」

「目の前で倒れられたら仕方無しに抱き留めてやっただけだ!」


そうじゃない。助けてくれたお礼を言わないと、と思えど何だか妙に気恥ずかしいのは本当だった。
然し口を開こうとした時には、三成様の頬が赤く染まったのが見えたものだからつい、何時もの癖でからってしまう。


「三成様も照れてるんですね」

「知らん!夕陽の所為だ!」


ツン、とした顔の動きで反らすと背中を向けて大股歩きで行ってしまう三成様は、何だか猫みたいに逃げてる様にも見えた。



***



流石に今宵は居るだろうと三成様の自室へと尋ねた私は襖の前で正座をすると静かに声を掛けた。
灯りは点いてるようで襖の下の隙間から僅かに漏れる様にして確認出来たからだ。


「三成様…」

「入れ…」


中から篭った声が聞こえると深呼吸一つして襖をススス、と静かに開ける。
三成様は文机の上で書物を読んでいたらしく一度だけ顔を此方に向けては一瞥した後再び視線を落としてしまった。
伏し目がちな三成様の横顔は燭台の灯りの所為か影が端整な顔立ちをより憂いに見せるようで妙に胸がざわついてしまう。
然し夕餉の時も普段変わらず物静かな三成様だったけれど、夕陽を背に猫を必死に追いかけてた姿とはまるで別人の様だ。


「三成様……良い加減教えてくれても良いのでは無いですか?」

「その話ならしないと言っただろう…」


嗜める様に言われてしまうと押し黙ってしまう私。然しめげませんよ。
実は私の横には皿に用意された三成様の大好物が乗っかっていた。
三成様の大好きなお饅頭です。好きですよね、お饅頭。


「三成様…お饅頭をお持ちしました。どうぞ召し上がって下さい」

「随分見え透いた手だな……」


再び視線を持ち上げたものの、此方に向けられたのは訝しげな眼差しだけ。


「餡子をたっぷり入れておきました」

「………」


何か言いたげな口は少しだけ開いた儘に、黙っている三成様は悩ましげに眉を幾何か寄せては何かと葛藤してる様にも見える。

普通に食べたいのだろう、きっと。

然し此れは交渉品なのです。タダではあげられませんからね。
私は背筋を伸ばして口許に丸めた手を置くと業とらしい咳払いを、コホン、とした。奥の手を漸く使う事が出来る。


「召し上がらないのなら二度と饅頭を作りません」

「何だと…」

「三成様が食される饅頭とて平然と食べてますが、これでも手間暇をかけてるのです」

「ぐ…」


ぐうの音も出ない三成様は悔し気に眉の皺を深くした。何か反論したくて堪らないのだ。
口を開いては閉じての繰り返しだが一切言葉として返って来なかった。その代わりに段々と垣間見える思案する表情。
おくびにも出さない本音を引き出そうと黙って静かに見守っていると、三成様は瞳の奥を揺らしたかの様に漸く諦めた。


「解った…」

「では教えてくれるのですね!」


盛大な溜息の三成様とは真反対にパア、と表情が明るくなった私は正座した状態で両手を畳に着くと、にじり寄る様にして距離を縮めた。
そんな一変した態度を見てか三成様は途端に、ぎょっ、とした青い顔を浮かべる。


「ち、近いぞ。もう少し離れろ」

「はいはい。……それで?」

「……はあ。……あの猫から…大事なものを盗まれた」

「大事なもの、ですか。それは一体何ですか?」

「………」

「言いずらいならいいです。…けど、敵が忍び込んだのでは無かったのですね」

「敵?一体何の話だ」

「城門を封鎖しろだのと物騒な物言いをしてたので」

「一時…囲うと思ってただけだ」


私は心底安堵した。護り固い城だとしても敵兵一人入られては夜も眠れない。
それが勘違いだとしても問題は解決してない。それならばと、私は袖を巻くって力こぶを見せた。ぺちぺちとそこを叩いても見せる。


「それは何の真似だ…」

「私に任せて下さいという意味です」

「…は?」


双眸を瞬かせて一瞬呆けた三成様だが、それも刹那何時もの様に顔を引き締めると真剣に見詰めてきた。


「断る。アンタが動くと、ろくなことが起きない」

「いいです。私は私で探しますから」

「ま、待て…!」


スクッと勢い良く立ち上がると何処か混乱する三成様の言葉を完全無視した私。
背を向けて足早に歩くと、正座した後外へ出てからピシャリと襖を閉めた。


ある日、猫を追いかける……最終話 へ続く




三成様が必死に探してる大事なものとは一体…。冷静沈着でも大好物には弱いっていうギャップが好きです。
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