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雨上がりの夜空
saizoudg00.gif
霧隠才蔵//関係:不明//傾向:切ない 【視点:才蔵】※ボル版ワンドロ用作品(お題:雨上がりの夜空)




雨月が漸く顔を覗かせたのは先程の事。
今は、湿った匂いを残す屋根の上に座り何時もの様に見上げる夜空が眼に映っている。
薄い雲の狭間から、まるで眼に向って堕ちてくるのは糠星の瞬き。
風が気の向く儘に横から吹けば、髪先が顔の皮膚をつつくと徐に反らしては目を伏せた。

そんな時、空気に混じって微かな気配を感じる。ス、と持ち上げた瞼は半分に止まると流す眼で屋根の先を見詰めた。
少し経つとカンカン…―――と下から梯子を登ってくる音がする。やがて、陽が昇る様に黒い頭がひょっこりと見えた。
弥彦と男装をして迄、此処へ乗り込んできた女。名は日七


「才蔵さん、矢張り此処に居ましたか」

「誰が来たのかと思えば…。何?」


本当は最初から誰が来たか何て理解してた癖に、業と知らないフリをする。
すると日七は意に介さず梯子に手を掛けた状態で用事を続けた。


「幸村様が探しておりましたので、お呼びに…」

「いーよ。ほっといて」

「でも…」

「勝利戦で気持ちでも昂ぶってるんでしょ。…どーせ酒の飲み比べでもやらされるのが落ちだから」

「えっと…つまりは」

「そ。行かない」


微塵も揺るがない言葉の聞こえ。
剰え寝転がってしまえば俺の意思が硬いのが理解してくれたのか、梯子を鳴らして降りようと頭が下がるのが見える。
然しそれも一瞬沈んだだけで勢い良く浮上すれば日七は梯子を更に登ってしまえば屋根を歩き始めた。
カタカタ、と足で踏む瓦が耳に届けば、枕代わりの為に頭の下で両腕を組んでいた手を少し動かしては視線だけを転がす。
すると日七は間近くに寄っては両膝を曲げて座ってしまった。


「何してんのさ…」


然程驚きもしないが、かと言って言葉に嘘は無い。


「少し、才蔵さんと話してみたくて…」


話す。一体何を。話す内容を探ってみた所で直ぐに止めた。
幸村と違って気遣う素振りも見せない俺と一緒に居ても楽しくも何とも無いだろうにと思えば自然と気怠い息を漏らした。


「…で。一体何を話すの」

「えっと…そうですね…」

「…………」

「…………」


案の定会話は何てものは成立しない。俺が黙ってしまうと、日七も続けて黙ってしまう。
二人の間にあるのは雨が上がって嬉しげに鳴いてる様な虫達と、風が葉をざわざわ、と揺らす音だけだった。
一人の時と変わらない空間には随分慣れた筈だが、一人混じるだけで呼吸する空気が微妙に違う。
俺は隙間無く硬く瞼を閉じては、ふーと息を肺から吐くと日七の肩がぴくりと小さく反応するのが解った。


「好きにすれば…」

「え…?」

「居ずらいんでしょ。…あっち、煩いし」


幸村を口実にしたとは思えないが、男臭い中に女が一人居ても窮屈なだけだ。
「煩いから居たくない」そう理由付けてしまえば、逃げる口実には充分だろう。
かと言って俺の傍に居たとしても居心地の悪いのは変わりは無いだろうが、それでも良ければ。


「有難うございます…」

「ま。…此処に居ても、つまんないのは変わらないよ」

「そんなことはありません」

「なら、いーけど」


良いとも悪いとも感情が揺さぶられない口調でも、日七は全く気にしない。
それ所か一人分開けた状態で俺を真似する様に同じ恰好に寝転んだのだから、聊かそれには驚いた。
数々の女を見てきたが、屋根の上に大の字に寝転がる姿等見たことも無い。
それでも叱りつけるなど無意味な話で、俺はやりたい様に振る舞う日七を黙って見詰めた。


「幸せですね…」

「…は?」


突拍子も無い発言には耳を疑ってしまう。いや、理解出来なかった方が正しかった。
何で、と言いたげな眼だけは隠せず胡乱な視線に気付いたのか、日七が顔を此方に向ける。
すると嬉々として星みたいに輝かせる眼を空目掛けて、めいっぱい見渡しては楽しそうに嗤った。


「こんな満天な星空を見れる自分は幸せだと思いますよ」

「…………」


滲んでてた胡乱の色は波の様に引いていくと、今度は俺が真似る動きで夜空を見てしまう。
楽しい、という感情は一切俺には無いが取り敢えず色んな星を見詰めた。
当たり前だが、どれも姿形は同じで、ただ光が違うだけ。

同じ人の形をしていても、物の見方というのは随分違う。例え同じ理想を掲げたとしても、思想迄もは共有出来ない。
だからこそ、人は人に寄り添い共感を得てしまうのだろうけど。―――……俺は違う。


「くだらない…」

「才蔵さん?」

「…………」


聞き取れない方が相手には幸いだ。
それ以上言葉を続けない俺を待っては居たのだろうが、押し黙った口は開こうとは思わなかった。
相変わらず沈黙を挟んで夜空を眺める、二つの形。すん、と香るのは雨の湿った草木の匂いだけ。

幸福なんてものは、理想郷だ。思い募らせた所で雨に打たれ流れては、儚く消え逝くもの。
俺が手を伸ばした所で決して届かない、届きもしない場所――――。

あんまりにも眩しい星の耀きなもんだから腕の着物の裾から、そっと狐の仮面を取り出すと目許を覆い隠してしまった。
くり抜かれた目の周り以外は暗く、夜空さえも見えなくしてしまう。
これくらい真っ暗な方が、俺には落ち着く。例え、箒星が駆け抜けたとしても欠片さえも見えない程に…――――。


END

Presented by HINANA
Thanks for reading to the end.



自然の題材で物悲しく執筆するのが堪らなく好きです。切なく書けるし。
才蔵さんと出逢い間も無い頃の話です。冷たくても優しい部分がちゃんと出せるように気を付けて書きました。
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