スポンサーサイト
  •  --, --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    *最後まで読んで頂き有難うございます。宜しければ拍手=愛を頂ければ活力になります。 ia10.gifアイ
    *。夢小説目次一覧
    GG*。aa06.gifAlexaa10.gifMarcaa09.gifLeon*。aa08.gifIzaacaa04.gifFredaa02.gifKyle
    恋乱LB*。aa02.gif殿方一覧


  • 只今ランキング参加中です、応援して頂けると幸いです♪
優しい雨は本音を隠す……第5話
Idg00.gif
アイザック・シュナイザー//関係:片想い//傾向:甘くて切ない//時代:高校生 【視点:アイザック】




俺の中での『普通な女』は、地位、権力、そして金。そうした餌に食い付いては男に媚びるのが当たり前に思っていた。
それを此方も利用する。勿論それは、お互い合意の上だから後腐れも殆どしない。

一時の快楽に溺れたとしても、簡単に浮上出来る。
執着は俺にとってはジョーカーなものだ。引いてしまってはそれは『普通』では無くなる瞬間でもあった。

けれど、アイツ……――――日七の初めての印象は『普通じゃない女』だった。
見た瞬間に解った。体から醸しだされた空気そのものが、この街のくすんだ色を弾け飛ばす勢いがある。
一緒に居る時間を重ねると、それが一体何なのか解ってきた。
周りの女達は揃いも誰しもが傲慢な欲に同調したがる。けれど、日七だけはしっかりと自分の意思を持っていた。

幾ら流されようが、まるで地面に深く突き刺さる剣に似た強さがあった……――――。



***



雨が降り頻る辺りは薄暗く、傘で雨をしのんでも濡れた肌にはひんやりとした寒さが伝わってきた。
すると、俺の腕にしがみ付く様に片手で掴んだ日七は突然俺の胸元へとゆらりと頭を傾ける。
最初こそ大人しくしてたが、一向に起き上がる気配が無い為に嫌な予感がした俺は咄嗟に日七の額に手の甲を置いた。
湿った肌から伝わる温度が異様に熱い。途端に眉根を寄せた俺はぐっと距離を縮めて日七の顔を覗き込んだ。


「おい、しっかりしろ」

「うん…」


朦朧とする眼だが意識はちゃんとあった。俺が支えて無いとカクン、と首が傾くのは余程力が入らないのだろう。
あまりにも高熱だとしたら状況は一刻も争うが、一応本人に救急車を呼ぶか聞いてみた。


「だ、大丈夫だよ!風邪だから…帰って寝れば良く…なる……から」


気を張って声を出すも熱によって音量が奪われてくと代わりに苦しげな息が漏れてくる。
俺は傘が落ちない様に一度肩に引っ掛けると注意を払いながら日七の肩を強く抱く。そうして運良く前から走って来たタクシーに手を挙げて止めた。


「とりあえず、此処から移動する」


こくん、とだけ少し顔を動かし返事する日七を先に、開けたドアから押し込む様にして後部座席へと二人で乗ると帰る方向へと出して欲しいと頼む。雨で濡れたタイヤを回転させながら走り出したタクシーの行き先は勿論日七の家だ。
親もこんな状況を見れば心配するに違い無いと思った俺は先に事情を説明しようと携帯電話を取り出した。怠そうに窓に凭れてる本人に家の電話番号を直接聞きだそうとすれば、何故か顔を左右に振ってから重たそうに唇を開く。


「家に電話しても誰もいないの…。パパは出張だから」


『父親が居ないと誰も居ない家』そう解釈すれば取り敢えずな事情だけは呑み込む。
それから俺は伝えるべく上半身を傾ける様にしてタクシーの運転手に行き先を教えた。

背を戻すと漸く腰を深く座り直せば自然と転がす視線で窓に凭れてる日七に視線を止める。
眠ってる所為か頭が窓から離れず、その上から外灯の模様が移ろい瞬く間に流れていく。すると俺は腕を伸ばして日七の頭に手を置き此方へと引き寄せた。

指先に力を入れるだけでぐらりと体重を預けてくる。衝撃も無く俺の肩に頭を凭れさせれば、ずれ落ちたりしない様にその上にしっかり手平を覆い乗せると目的地に辿り着く迄ずっとそうしていた。



***



着いたのは俺の家だ。日七の家に向った所で家に誰も居ないとあっては、何処に物があるのかさえ解らなかったからだ。
タクシーを止めるとドアから日七を横抱きにしてから出来るだけ雨に濡れない為にエントランスに急いで入る。

そして漸く自分家の玄関迄辿り着き部屋の明かりを点けると、日七を抱えた状態でバスルームへと向かった。
扉が閉まりそうになるのを片脚を突っ込んで無理やり開けると洗面台の縁へと一旦日七を置く。名を呼んでも幾ら揺らしても目を開けようとしない。深く眠ってるかの様に小さな声が時々耳を掠める程度だ。

気付けなかった後悔の念を抱きながらも思わず眉根を寄せてしまえば、日七の後頭部を片手で支えながら自分の胸元へと引き寄せた。俺の指先から髪や服から沁みる様に肌を伝えば底冷えする冷えたを感じさせる。その上体内では熱を籠らせてるのだから事態は深刻だ。

取り敢えず出来る全てのことはしなければならない。そう思えたら行動は素早さに変わった。
俺は日七を依然支えタオルを1枚、棚から引っ張るように掴めば雨で濡れた箇所を細かく拭った。滴れる水滴をタオルで出来るだけ吸わせると、今度は自分も手早く髪や、体を拭う。


「今、ベットに運んでやる」


気怠そうに小さく頷く日七の膝裏に腕を差し入れては背を抱いて俺の寝室へと足早に向かった。



***



ダブルベットの掛けシーツを捲れば日七を静かに下すと、沈む体の手足を伸ばしては背に触れる弾力さに表情は漸く落ち着いた様に見えた。

けれど寝かせたは良いが、日七の濡れた服をその儘でいさせる事には疑問を抱いた。シャワーを浴びる体力は見る限り無さそうだ。それなら、せめて乾いた服を着なければ状況は段々と悪化していくだろう。
俺はベットから離れると一番奥の壁に埋め込まれてるクローゼットの扉を両手で開けた。

ガラガラ…――――。

扉下にある、ほんの小さな車輪が床に音を作りながら左右に開かれれば、サイズが一番合いそうな服を視線だけで探す。
そうは見てもラフな恰好は少ない。伸ばした手で漁ってみても着飾った服など着せては意味も無いので部屋着の一つである黒無地のパーカーを取り出すことにした。

それから、手に掴んだ服を二の腕に引っ掛けると再び閉じようとした視線が自然と斜め下に落ちる。
下の棚に置いてある焦げ茶色の紙袋の狭間から、白い何かが飛び出していた。眇めた眼で見ているとその一箇所の景色だけが如何しても歪んで見える。そこから目を背けては、徐に目許を伏せた後にパタン、と静かに扉を閉めた。


手にした服を持ちベットに戻ると、日七は横向きになり背を丸めて眠っている。けれど呼吸を繰り返すその息は乱れ不調を現していた。ギシ…とベットを軋ませて縁へ浅く腰を下し日七の肩に手を乗せてから、ぐ、と押して仰向けに寝かせると早速服を脱がしにかかる。
幸いにも前開きの服はボタンを外せば簡単に脱がせそうだった。けれど服は透けて肌にぴったりと張りつく所を見れば、時間は掛かるかも知れない。そう思いながら両手を伸ばして一つ、二つと指先で外していくと鎖骨が見えた。然し次の瞬間には俺の片手は日七の腕によって弾かれてしまう。

無意識にされたものでは無い。その証拠に表情を窺い見れば眉に皺を刻み顔を歪めては、頭を左右に振ってるのが見えたからだ。弾かれた手を再び伸ばし、バタつく体を押えようと胸倉を掴む形で動きを止める。間髪入れずに眉根を寄せると、業と苛つく声を作って叱った。


「誰がお前の体になんて欲情するか。いいから脱げ」

「イヤ……だ…。イヤ……」

「勘違いするな。…別の服に着替えさせるだけだ」


最後は強めに言葉を発すれば、ビクッと日七は体を強張らせ漸く動きを止める。
すると一度胸からありったけの空気を吐き出したかと思えば覚悟を決めた様に仰向けになると急に大人しくなった。


「強情な奴…」

「……だっ…て」


病人に欲情する程愚かじゃ無い。俺は手際良く全てのボタンを外してしまえば服を脱がせにかかる。
女の裸を初めて見る訳でも無く、隠された素肌が剥き出しになったとしても動揺何て俺には無縁だ。

濡れて張り付く生地が手に持つと想像以上冷たくやたら重く感じる。
こんなのを引きづって雨を彷徨えば病を持たない人間だろうと風邪をひく確率は高くなるだろうに。
何故、こんなにもコイツは無茶をしたんだ…――――。
たかが生まれた日に相も変わらずなパーティーが偶然あった。俺にとってはその程度なものだった。

体調を崩してまで来る馬鹿なのか。そもそも、家で大人しくしてれば良かったんだ。

そう悪態付いた思考を持ちながら、脱がしてしまえば造作も無く新しい服に袖を通そうとした俺の手が止まる。
そして持って来たタオルを丸めると、首筋や鎖骨下に垂れる汗か雨だか解らない水滴を拭ってやった。



***



早々と熱めのシャワーで冷えた体温を戻した俺が部屋着に着替えると、今や照明を落し間接照明に切り替えた部屋に戻ってきた。ベットの上で乾いた服の着心地に安心したのか、弾力のあるベットの心地良さに安堵したのか日七は忽ち深い眠りに落ちている。状況は仕方無かったとは言え家に誰かを入れる事を許さなかった俺が、況してや自分のベットに他人が寝ている光景には妙な不思議さを感じた。

日七の顔を覗き込めば呼吸も随分落ち着いた様にも見える。
俺は何回目かの水で濡らしてきたハンドタオルを立った儘に額に乗せ終えると、その場から立ち去ろうとした。

然し…――――何かが俺の服を引っ掴んで動きを止めた。原因を辿ればそれは日七の手だった。


「…どうした?」


声静かに落して顔を前よりはさらに覗き込んでも返事は無い。日七は瞼は閉じて規則正しい呼吸をしているだけだった。
然し指の力は緩めずにいれば、それは何かに縋りつく様にも見えた。


「……い……で……」


口をぎこち無く動かしても、しっかりとした声までは届かない。
全てを聞き取ろうと俺はゆっくりとベットの横で両膝を置いてから日七の唇に自分の右耳を寄せる。


「行…かないで…何処にも行かないでよ…

…――――ママ」


その言葉を聞いた瞬間、ドクン、と勝手に心臓が跳れば息を呑む俺が居た。

一番奥底に秘められた弱い部分を人は時に曝け出す。
人の強さは表から見れば地面に深く突き刺さる剣の様に、然しその地中深く隠れた刃は本当に硬いのだろうか。

俺は気付いた時には日七の無造作に置かれた手を両手で掴んでは、祈る仕草で額まで寄せると瞼を徐に閉じた。
すると、ポツリと口から零れる声は日七に向けてるつもりでも何処か違って聞こえるのは何故なんだ。


「…安心しろ」


違ってなどいない。俺は知っていた。諸刃の剣は壊されない為に気丈に見せる。
だからこそ…――――


「俺が日七の傍に居る…」


優しい雨は本音を隠す……第6話 へ続く




人の強さは他人には如何見えても、結局自分の強さだけは自分にしか解らない。
超難解な執筆ですが、更に深く、深く、幼少まで、アイザックの深層心理へ入ってみます――――。
    *最後まで読んで頂き有難うございます。宜しければ拍手=愛を頂ければ活力になります。 ia10.gifアイ
    *。夢小説目次一覧
    GG*。aa06.gifAlexaa10.gifMarcaa09.gifLeon*。aa08.gifIzaacaa04.gifFredaa02.gifKyle
    恋乱LB*。aa02.gif殿方一覧


  • 只今ランキング参加中です、応援して頂けると幸いです♪

Comment - 0

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。