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優しい雨は本音を隠す……第4話
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アイザック・シュナイザー//関係:片想い//傾向:甘くて切ない//時代:高校生 【視点:ヒロイン、三人称】




外に出ると私の足元にある、道にポツポツと黒い染みが出来た。
辿る様に空を見上げると今にも泣きだしそうだった雲から沢山の雨が降り注ぐ。
こんな日に限って最悪という名は悉く私の邪魔をしたいらしい。
降り始めた小雨の所為か、どれだけ手を挙げてもタクシーは通り過ぎるだけで中々捕まらなかった。
なので本降りになる前に何処か一時雨宿り出来る箇所を探す為に私は足早に歩いた。
慣れないピンヒールが歩きずらい、かと言って脱ぐ訳にもいかず仕方無しに我慢して足を進める。

足を一歩踏み出すごとに、僅かな水溜りが出来た中を踏んでいくと水面が波紋の様に広がった。
滲む模様を見ると不思議と脳裏に焼き付いた二人の姿を思い出す。その原因で歩く速度は一向に速くはならなかった。

傘を持たない行き交う人々が何人も私を追い越していく中で、不図店の窓硝子に映る自分を見た。
目の前迄近付くと反射して窓に滲む姿を鏡の様にて見詰める。
髪も、服も、化粧も、さっきから痛む靴擦れさえも瞳の中に映る自分は、全部が滲んで見えた。
けれどきっと、これは雨の所為で何かも崩れてしまっただけだ。そう必死で思い込む。
何だか、何もかもぐちゃくちゃだ。姿は勿論の事、自分の気持ちさえも支離滅裂に感じてくる。


「結局…何がしたかったんだろう」


ハッ、と息を吐くと口許は緩く持ち上げられ勝手な微笑を作っていた。
自嘲する笑いの元は、今日の日を勝手に浮かれてた自分に対してだ。
手を伸ばして曇った硝子に指先を伸ばすと雨の水滴に触れる。硝子から伝わるのは、やけにひんやりとした硬い冷たさだけだ。
瞬き一つに浮かぶ、あの人がアイザックに触れていた事を思い出せば彼の体温はどのくらいあるのかと考えてしまう。

振り払う様に両目をぎゅっと瞑ると、引っ込めた指先を丸めて口許に寄せた。
そっと瞳に入る自分の指先。マニキュアも何も塗ってないただの爪とアイザックを掴んでたあの人の綺麗なネイルが重なる。


『そんな似合わ無いことしてたら男は寄って来ないぞ』


アイザックに言われた言葉が耳を掠める。その時ポロ、っと雨に混じって温かい雫を肌に感じた。

「‥‥ふ‥」

指先に落下してくるそれは幾つもの涙の雫だ。
止めようとした所で、まるで押し込んでた気持ちが逃げ道を探しあてた様に涙は感情の一部となって一気に溢れ出す。
ぐっと息を詰めても涙は止まらない。私はその場から足を引き剥がせば降り頻る雨の中を足早に歩き始めた。
自分の気持ちがパズルのピースみたく散り散りだったのに、涙が溢れる涙の数だけ引き寄せられる様に答えを導きだそうとする。
支離滅裂だった感情さえ、その時を静かに待った。そうして出た答えは――――。
歩く道の真ん中で立ち止まると喧騒から目を離せば大きな空を見上げる。涙は瞬く間に雨で隠れてしまえば、頬を流れた跡さえ消してくれた。

突然にドン、と人の肩がぶつかりよろけた私は体が大きく傾いた事でバランスを崩してしまうと、咄嗟に地面に両手をついて蹲った。バシャ、と水溜りが飛沫を上げて体に跳ね返ってくる。けれど全然平気だった。こんなに濡れてしまっては水溜りに入っても同じだと思ったからだ。
瞬きを一つする度に頬に涙の温もりを感じる。揺らぐ瞳を瞼で隠してると背後から大きな影が出来た――――。



***



一方、アイザックは元居た場所に座って居た。
先程と違うのはマークとアレックスと引き換える様にして女が隣に座ってる事だけだった。
けれど二人きりだというのに、アイザックにプレゼントを渡しに来る強者は結構居た。
アイザックは普段の鬱陶しい気持ちは今は隠して邪険にする事はせずに簡単な礼だけを述べる。
そうでなければ些細ないざこざが出来るだけだと解っているからだ。

「この後どうする‥?」

女は期待の眼差しを向ける。意味合いの言い方は、今夜のベットを共にするか如何かの誘いだと直ぐに解る。
自分の周りに居るUESの女達は体の関係から入ろうとする。別段驚きも見せずアイザックは淡々とした眼差しを女に一瞥した後、僅かだけ目を伏せると返事の代わりにグラスの中身を一気に飲んだ。

それから徐に席を立ち上がると、女はそれを肯定したと捉えてか声を鳴らして嬉しそうに方腕にしがみ付く。


「アイザック‥?一体、貴方何処へ行くの?」


そこへセリーナが二人の行く手を阻む様にして立って居た。眉根を寄せると訝しげにアイザックを見ては隣の女へ視線を向ける。
派手なセリーナが気に食わないのかアイザックに向ける雰囲気とは違い尖った視線で女はセリーナを睨んだ。邪魔をしないで、と目が語っている。


「言い方を変えるわ。日七とは会えた?」

「ああ。カウンターで少し話した」

「カウンター?向こうのフロアじゃなくて?」

「いや、俺が会ったのはその一度きりだ」


セリーナは次の言葉を選ぶ様に口を閉ざす。思案顔を浮かべながら先走った事を言えば日七を傷つけてしまうと慎重になったセリーナを女は面白くなさそうに見ていた。この場から早く引き剥がす為にか、ぐいっとアイザックの腕を引っ張り歩き出せばセリーナの横を通り過ぎる。


日七のプレゼントは素敵だったでしょ!」


背中に突き指す声の勢いなのか、アイザックの歩く足はその場でぴたりと止まった。
肩越しで振り向くとセリーナの瞳から発せられたのは芯が含んだ様に力強さがある。


「アイツは用意して無いって言ってたんだが」

「ううん、用意してた。けど、渡せなかったんだと思う‥」


原因となる隣の女を睨む様にしてセリーナは視線を投げつけた。女は黙ってるものの苛立つ様に瞳だけを細める。
するとアイザックは肩越しだけでは無く体を向き直すと、その言葉の意味を訪ねてきた。


「用意してた。‥とは、如何して解るんだ?」


セリーナは証明する為、二人の間を割って入る様にして椅子の下へと蹲るとプレゼントの山の隙間から引っ張るものを手にしてから再び立ち上がった。ずいっと見せ付ける為に片腕を前に出すとあまり大きく無い紙袋の様な物を見せる。贈られた数々のプレゼントとは明らかに違った雰囲気を纏うのは値段の良し悪しでは無く決して目に見えない不確かな何か。アイザックは袋から向けて居た視線を外す様にしてセリーナを真正面から見詰めた。


「これは?」


それが一体なんなのか、セリーナに答を求める。けれど、とうとう女は我慢ならないとばかりにセリーナの手首をパシッと払い退けたのである。


「ちょっと!なんなのよ急に来て!」


金切り声を上げながら憤慨する勢いでセリーナに噛み付く言葉を浴びせると、袋は地面に滑る様に転がってしまう。
今宵のキング。そのアイザックと一夜を過ごせるとあらば必死さも一入だった。邪魔をするセリーナに怒りの矛先を向けた女は原因の一つであろうとする物を先に屈んで拾い上げれば、手に持ってしまう。けれど文句を吐き捨てながらも手に持った瞬間に再び中身だけが重力に従い半回転しながら床に音を鳴らした。


コン、カラカラ…――――。


女が乱暴に掴んだのと、先程叩き落とした衝撃で留めてあった一部のテープが剥がれてしまった所為だ。
それは横に回転しながらも勢い良くアイザックの足元目掛けて転がってきた。


「…………」


足の先で漸く止まった物を見下ろすアイザックは短く息を吸えば小さく唇だけを開ける。
反射的に掴もうとしようと腕を伸ばせば爪の先に触れた途端に女が小馬鹿にした様に笑い声を上げ始めた。


「信じられない。こんなのプレゼントする何て、一体何考えてるわけ?」


女は楽し気にせせら笑いながら肩を竦め歩き出すと、ぐい、とアイザックの方腕を両手で引っ掴んでは相手にしないで行こうとばかりに促す。

然し幾ら強引に動かそうともアイザックの足はそこから微動だにしなかった。

「アイザック…?……――――ねえ、そんなのいいから」

掴んだ物を片手で握るアイザックに向って、それを奪おうと手を伸ばした女をアイザックは反対の手の甲で払い除けた。
伏せてた目許をス、と静かに持ち上げれば瞳の奥底から真っ直ぐに放たれたのは何も揺るが無い強い視線。それを流し目で射抜くとビリとした威圧する気配を感じてか女は言葉を引込めて怯んでしまった。


「これに、触るな」


酷く低い声諸共引っ付かれた距離を女の肩に置いた手で、ぐっ、と押し返すアイザックはその勢いを利用して走り出す。
音楽と照明がまるで陽の光を作る。激しく降り注ぐ燦々とした光の粒は、それを気持ち良さそうに踊り続ける人の間をアイザックはすり抜けた。
その足には何も迷いも無く人々の狭間をかき分ける様にして突き進めば、姿は瞬く間に消えてしまった――――。



***



突然覆われた影の行方を見る為にゆっくりと肩越しで見上げると、そこには肩で息を切らしながら傘を手に持つアイザックが居る。
何故か傘を持ってる筈なのにアイザックは私と同じくらい濡れていた。水溜りを幾つも踏んだのか足元の裾は濡れ、髪先からぽたりと雨の雫が肌を伝っている。


「アイザック…」

「お前が外に、出て行ったのを見た奴がいた。だから…」

「だから…?」


息が落ち着いても続く言葉を言わない代わりに眉根を僅かに寄せたアイザックは、きっと次には普段と同じ苛ついた様な視線を投げる。
そう思えば瞼をぎゅっと瞑ってしまうが……――――。

その時雨を凌ぐ程の大きな何かで包まれた感触がして瞼を開けた先に見えたのはアイザックの温かい腕だった。
腕と手は背中全体を支えながら、両膝を曲げる事で私と近い目線になると全ての雨粒から私を護る様にして傘を斜めに傾けてくれる。

ザ――――…と雨の音は、傘にあたるとその音色を変えた。
あんなに遠かったアイザックが今目の前に居て、私の顔を覗き込むようにして静かに見詰めていた。

怒るわけでも、呆れるでも無く視線からは怒気さえ滲ませて無い。伏せ気味の所為か切れ長い眼の瞼に刻まれる二重の線がうっすらと浮かぶ。

自分から覗き込んでしまえば、先程見た硝子の壁。その映し見た雨に滲む硝子に似ていて、それは息を呑む程綺麗な瞳をしていた。
けれど同時に硝子一枚を隔ててる内に秘められた部分迄は、指の先で触れてしまえば簡単に壊れてしまいそうな儚さもある。


アイザックの瞳には私しか映って無い。私を、ちゃんと見てくれていて…――――。
支離滅裂だった感情は周りの私欲を吹き消しては――――ただ、好きという純粋な気持ちだけを残した。


彼が好き。その想いは共鳴したかの様に、じわ、と込み上げる感情が心を突き抜けてしまえば勝手に目尻に涙が溜まる。
アイザックの瞼が少し開いたのは驚いた所為かも知れない。けれど見開かれた瞼を直ぐに戻すと理由は聞かず背に添えてた手だけを私の目許に寄せた。

そして私の濡れた睫毛を親指で押すと、ゆっくり横に滑らし涙を拭ってくれる。
溢れてくる涙を止められずに後から零れ落ちる涙の雫をアイザックは何も言わず何度も指で拭ってくれた。


「案外、役に立つんだな…」

「え…?」

吐息に似た呟きで口から零すアイザックは、軽く俯くだけで髪先から雨の滴を落した。


「お前の…プレゼント」


そう言って手にしているのは、私が誕生日に用意したもの。アイザックに似合う深い蒼をした折たたみの傘だ…――――。
腕を掴んで引き起こしてくれるアイザックは傘を持つ手を軽く上に持ち上げると、口許を僅かに綻ばせた。

傘が揺れる最中、初めて見るかも知れない何処か穏やかな僅かな微笑み。
普段の冷めた雰囲気から少しだけ覗かせた優しげな空気は、激しい雨に混じっても消えることは無かった。


優しい雨は本音を隠す……第5話 へ続く




誕生日プレゼントは『折たたみ傘』でした。決して高価な物では無いけれど、こんな風に物語を大きく動かすことの出来る重要なキーアイテムなので此処まで引っ張りました。……アイザックは流し目がとても似合うと思ってる(呟き)

次はアイザック視点で書く予定です。S1を掘り下げて幼少期まで。自分で作るものと向こうでは、ズレがありますが。しょうがないです。でないと血が通った人間が書けないので…。
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