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そして見果てぬ夢へ
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武田信玄//関係:恋人//傾向:切ない 【視点:信玄】 ※麗らかな陽の続きです。




※流血描写が多々あります。此処から先は全てにおいて自己責任でお読み下さい。


消え逝く様なんて人はどう思うのだろう。
残された刻は手に掴めないこの花弁のように儚く散るしか残されていない。

最後に守りたいと強く思った。それ以外の理由に何の意味も持たない位に。
この感情だけが俺の全てになるように只管、守りたかった願いを今一度この手で…――――。



***



俯く額からツーと零れ落ちる血は、ボタリと地に染みを作った。刀を握り締める、その指先の感覚が氷のように冷たい。
全ての力さえも失われそうな今、刀を握りしめる指の力だけが最後の綱だった。


必ず、守り抜く。


近づく気配に、俯いていた顔を上げると木々の間から血走った眼をした敵兵がぞくぞくと現れる。
誰もが、まるで地の底から這いずってきたような血に飢えた眼をしていた。

「でやっ!」

周りを囲う様にして距離を縮められるも、一人が前に飛び出した途端にザシュッ、と一太刀すれば血生臭い匂いと共に鮮血は空を舞った。
尋常無く大きく裂けた斬り口に人ならぬ者を見るかのように、動揺する声が漏れる。
俺は方膝を付いてた状態から緩慢に立ち上がり、息を深く吸うとやがて静かに唇を開く。


「…死にてえ奴から前に出てこい」


ギラリと開く紅の眼光は、まるで刀を突き刺すように辺りを威圧する。冷えた空気は途端にピンと張り詰め、ビリビリとした殺気に満ち溢れた。ヒュゥと横風は髪や服を揺らしながら刻をただ静かに待つ。

病によって闇に置かれしこの身が今一度陽を浴びる事は、もう無いだろうと腹に決める。
俺の命は雅に、今しか無いのだから――――。


ジリ、と地を踏み「かかれ!」と一人の合図に弾けたように一斉が動いた。
然し斬りかかって来る狂気の刀達は、命を燃やす俺の前には瑣末に過ぎない。
虫一匹容易く握り潰すように、糸も簡単に俺の刀は相手の急所を的確に裂いた。

その動きに一人が慄いたように半身を仰け反らすと、今にも逃げ出したいような表情と搾り出すような声。
容易く散る命を目前にして一瞬にして血の気も失せたようだった。


「……っ、なんだコイツは……っ!化け物か!」


返り血に染まる身と共に深紅の眼はまさに化け物に近いか。俺は思わず口許だけで不敵に笑みを滲ませる。
戦いの最中血を好ん啜る化け物以外の言葉など見付かる筈も無く。


「――――だったら、何だ?」


その言葉を、冷酷に吐き捨てたが相手の耳には届かなかった。
なぜなら振り翳した一閃に鮮血を撒き散らしたのは化け物と吠えた本人だったからだ。
倒れる魂の抜けた体を一瞥見下ろすと、刀をゆらりと構え直した。


…この感触だ。――――俺に必要な、刀を握るこの力。


忌々しい病に屈せず、今一度刀が振れるのなら俺は化け物になっても構わない。
ヒュ、と鳴る刀に塗られた血を振りながら次から次へと俺は魂を狩っていく…――――まるで血に飢えた獣のように。


足りねえ。足りねえ。…全く足りねえな。


希望の光を遮る影があるならば、拭う為に一掃しなければならない、故に俺はこの刀を休める訳にはいかない。
俺が守りたい未来に繋げる命の為に。


大丈夫だ、俺はまだやれる…ッ――――。


「はぁっ!」


ギンと大きく鳴る刀同士だが俺の力に弾けた刀は地に刺さり、その空いた隙に渾身の力で刀を振った。
まだだ、と奥歯を噛み何とか意識を引き摺り戻す。地に落ちて逝く魂の数程俺の生命力も奪われていくのが解る。

段々霞む景色に足の力が上手く入らず何度もフラつく、その隙を見逃さす筈も無く懐に入られる突き出された刀の先は俺の腹部に深深と埋め込まれた。


「ぐっ…」


押されるような動きで半歩下がり重心が僅かにぐらつく。ブシュと血飛沫が刃を伝い地にボタリボタリと幾つも落下していけば、刀が刺さる腹部から中心に広がるようにジワリと血の模様が蜘蛛の巣みたいに走る。


ボタリ

ボタリ

ボタリ


「……はぁ…っ…」


臓器を損傷してか、俺の口端からツーと赤い筋が零れた。
振り絞る精一杯の力で何とか地に足を踏みつければ、悲鳴をあげる体を渾身の力で抑え込む。


(まだ……俺は……)


動きを封じられ急速に弱まる俺の背後から、次の刀が振り下ろされる。
容赦無く斬りつけられたその右肩口から斜めに深い傷が刻まれた。


「それでも、俺は…」


此処で倒れる訳にはいかない。今を守れないならば俺の願いは叶わない事になる。
赦された今この刹那だけは、何があっても失う訳にはいかない。
なら、俺が残された唯一は命の一滴まで搾り出すことだけだ。


痛みは俺には、もう必要ねえ――――。
今を決して最後迄諦めないこそ真の価値がある。


「俺は、まだ…くたばる訳には……――――いかねえんだからな……ッ!」


宿る眸の強さと共にグ、と腹に埋め込まれた刀を握り一気に引き抜く。
周りの怒涛ごとそれは静かに閃光のように血は空を舞った。
同時に飛び出す敵兵に向かって自らの刀が幾つも命を狩って逝く。自らの血も深く啜って…――――。


どれだけの刻をそうして居ただろうか。
思考さえも霞む程にやがて、ガクンと膝から崩れ、剣先を地面に刺した時は周りの存在は全て消えて居た。
不気味な静寂と、そして今にも消え逝きそうな俺の存在だけがそこにはあった。

不思議と痛みは一切感じない。それこそ先程とは一変して平穏な気持ちすらある。


「…幸村…後は頼んだぜ…」


決して、本人には言ってやらねえ。最後まで俺はアイツの高みでありたい。
故に命を共に駆け抜け、信頼を束ねる長として――――1人の漢として。

そして瞼を閉じると薄れゆく様々な想いの中で、俺らしい最後だと不図思う。
見知った奴らも居ないのは、誰の目にも触れず死に際を散らすことが出来るのと同じだ。
ツー、と口端から血を零しながら自然と僅かに笑みの形を作る。

その時、ゆっくりと歩む一人の足が俺の目前で止まれば、頭に銃口を突きつけ構えた奴が居た。
一目で解る、その一国を担う大きさたる器を秘めてるような深い瞳を見れば――――。


「いいぜ…くれてやるよお前に」


消え逝く様なんて人がどう思った所で己の運命には抗えない。
残された刻は手に掴めない花弁だろうと、それを伸ばしてくれた手があった事を俺は忘れない。

せめて最後に言葉が許されるのなら…。


生きろ。

日七…生きろ。生きてくれ。

お前は生き続けて、俺の代わりに見果てぬ夢を見てくれ。
小さき希望と共に永遠に何時迄も…。


END

Presented by HINANA
Thanks for reading to the end.



悲しいけど執筆出来て大満足…。漢たる信玄にこそ相応しい場面に出来た。

麗らかな陽の続き (前回)
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